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ウイングアーク1stの人的資本xデータ活用のこれから

本日、ウイングアーク1stは国内唯一の「ISO 30414」認証機関である株式会社HCプロデュースの審査を経て、「人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO 30414」認証取得」を発表しました。なんと「情報・通信業初」の認証となり、日本含めアジアでも9社目!これはとってもすごそうだけれど、「ISO 30414」とはそもそも何?なにがどうなって認証されたのか?!私たちはどこへ向かうのか?などなど、本取り組みを行ってきた人事・サスティナビリティ領域の執行役員 吉田さんと People Success部メンバーの星野さんに舞台裏を伺いました。


ISO 30414とは


ISO 30414とは、人的資本に関する情報開示の国際的なガイドライン「ISO 30414」のことで、2018年に国際標準化機構(ISO)が定めた人的な資本に関する情報開示のガイドラインを指します。企業が従業員に関する人的資本に関して定量化、分析、可視化して開示するための国際的な指標が示され11項目 58指標にわたるものです。(58指標の中で、社外開示が義務付けられているものと義務付けられていないものと分かれています)

なぜいま「人的資本xデータ活用」なのか?

人事・サスティナビリティ領域の執行役員 吉田

吉田:ここ数年、企業は財務情報だけでなく、非財務情報を含めて社内外のステークホルダ―に開示していく流れがあり、その中で人的資本の開示が大切な要素となってきています。
弊社は「The Data Empowerment Company」を謳い、「データ活用は、ウイングアーク。」でCMを放映するほどデータ活用の会社ですが、我々人事に関わる経営判断はデータに基づくものではなく勘と経験に依存してしまう傾向にあります。加えて、給与データやグレード情報など様々なセンシティブなデータを持っており、そのため部署を超えて複数の人々に気軽に協力を仰げる体制が作りづらい、という個人情報を大切に扱うという我々の特性もあります。それゆえに給与システムや勤怠データなどそれぞれのシステムにデータはあるものの、どこかに集約・可視化・分析して経営判断に活かす、という流れは作れていない状態でした。
しかし「The Data Empowerment Company」としては、ぜひとも自社でデータを活用し、人材分野に活かしていきたい!そういう熱い想いを、データ活用事業を推進しているData Empowerment事業部長の大澤さんとも話し合っていく中で、遠くない将来に「自社製品xHRテック」で弊社の自社事例をもって多くの企業に参考いただける形をつくっていきたかった、という経緯があります。
(大澤さんの記事はこちら!)


 
―人的なデータとは具体的にどのようなデータを指すのでしょうか?

People Success部 星野

星野:人事領域が管轄するもので、定量データと定性データと大きく2つに分かれています。
・定量データ:人口、性別分布、勤怠、お給料など数値化されたもの。
・定性データ:個人に紐づいたもので、各自のキャリア志向やスキルなど。
 
こういったデータを掛け合わせて活用できるようになると、例えば総労働時間に対するトレーニングに費やした時間の割合で何か新しい気づきがあるかどうか?といったことがわかるといわれています。
 

1つ1つ着実に「標準化」していく



―今年1月末の認証取得に至るまで、具体的にどのような取り組みがなされていたのでしょうか?
星野:これは認証取得したこれからの話にもつながってくるのですが、私たちは 人事基盤(HRMOS CORE)や給与システム(マネーフォワード)、勤怠システム(King of Time)などにSaasサービスに分散しているデータを自社製品のデータ分析基盤「Dr.Sum」に集約してBIダッシュボード「MotionBoard」に格納することリアルタイムにな閲覧可能な状態をつくり、「データを分析することで新たな気づきを得られる状態」を目指しています。

理想図

そこを見据えてまず取り組んだのが、データの算出です。
冒頭吉田さんも話していましたが、データを扱う担当者によってデータの定義や算出の仕方が微妙に異なるのです。例えば小数点以下をどうするか?などそういう細かい「決め」を1つ1つ標準化していくことで、誰がデータを扱っても同じ算出結果にする、ということを実現しました。
このほかにも、認証機関から、データをどのように経営判断に活用しているか?の経営者へのインタビューがあったり、メンバーがランダムに選ばれ、実際どうなのか?のメンバーインタビューがありしました。

―1つ1つ着実にデータを整えていく作業は大変そうですね・・
星野:はい、地道な作業でしたが、その過程で「データを見てわくわくする」という体験もあり、楽しくもありました!
 
―貴重な体験ですね!どのようなデータにわくわくしたのですか?
星野:「総給与に対する特定職の報酬割合」…うちの場合は特定職=エンジニアとし算出してみましたが、従業員に占めるエンジニア人数比と同じような結果となりました。

吉田:「ISO 30414の項目にはないですが、男女間の賃金格差(有価証券報告書で開示がもとめられているもの)が課題として挙がっていたため、役職グレードごとに算出したのですが、グレード内では男女間の賃金格差がないことがわかりました。この結果から言えるのは、上位職に女性が少ないだけで、我々に求められる課題は「上位職にどうやって女性をあげていくのか」、という点だということ。注力すべきところがわかったのがおもしろかったですね。

―ところで、この認証取得は業界初です。「業界初」のニュースを世に出せる機会はめったにありません…!なにが「業界初」を可能にしたのでしょうか?
吉田:今回の認証にあたって弊社の強みがあったとすれば、星野さんが行った算出根拠の標準化、つまりデータの素地を整える作業において、様々なデータが様々なシステムに散らばっていたとはいえ、すでにアナログは脱しており、SaaSの中にデータはあった、ということが言えるかもしれません。あとは何かをするのであれば1番がいい、という私の思いつきで(笑)よし、やろう!という決断は早いほうだったかもしれませんね。
 

これから私たちはどこに向かっていくのか



―これから私たちはどこに向かっていくのでしょうか?
吉田:私の中では、いままだフェーズ0なんです。この認証機関から今後も定期的にヘルスチェックが行われるのですが、次のチェックは3年後。
それまでに自社製品活用を通して可視化することがフェーズ1、ダッシュボードを進化させます。これは2024年内には実現させます。
次にManagement Decisionに活用するのがフェーズ2、そして社内事例をベースに自社製品×HRテックで世の中を変える、これがフェーズ3です。それこそがThe Data Empowerment Companyとしてのミッションだと思っています。

フェーズ2の分析のイメージですが、たとえば勤怠の状態に乱れが出始めると、休職してしまうリスクが高まるとされているのですが、そうなる前にデータを分析することでアラートをだせる、などのHRテックの可能性を検証していきたいと思っています。弊社の場合は健康経営にも注力していますので、そういった健康データと突合させながら。
本来的には、会社の定性・定量データを統合的に集めて管理するファンクションがあるのが理想だと思っています。人事のデータ、総務のデータ、経理のデータ、Salesforceのデータなど全部統合できると、絶対に面白いとおもうんですよね。交際費を使っている人は売上に貢献しているのか?会社に出社したほうが生産性が高いのか、エンゲージメントが高いのか?など様々な仮説が出てきます。ただこれには、客観的にデータを見れる専門職のポジションを新設することも必要となるでしょう。

 
星野:実務担当としてお話すると、フェーズ0でも形にしていくのは大変でした。あくまで人事の人間ではあるのですが、取り扱うデータの性質からも他部門連携をどんどんとっていけるものでもないため、自チームのITスキルの習得や様々なインプットが欠かせないと思っています。
 
―最後に、今後ISO 30414認証取得を目指す方に向けて何かアドバイスがあればお願いします!
吉田:「認証とります」だけだと企業価値は上がらないんです。その先に、集めたデータをどう使っていくのか?そこの構想が重要となってくるため、自社の組織をデータでどう変えていきたいのか?どう経営に活かしていきたいのか?を考えることが重要だと思います。
 
星野:実務担当としては、これまで出したことがない数値が11項目58指標の中でいくつもあり、新たに出してみるデータが自分の中でも新しい発見があったり人事の中で判断材料になったりしたのがよかったですね。着実に積み上げていく作業は大変だと思いますが、そういった楽しみ方をすると何か見えてくるものがあるかもしれません。

ー吉田さん、星野さんありがとうございました!
 
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