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全社員リモートワークを短期間で実現させたIT部門のヴィジョン

新型コロナウイルス拡散の影響を受け、ウイングアーク1stでは2月26日に原則在宅勤務が指示され、3月26日には出社禁止が全従業員に向けて発令されました。しかし、そんな環境下でも事業は継続されなくてはなりません。IT企業はリモートワークと比較的相性が良いと言われており、ネットワーク環境が整備されていれば、実務をこなすことは可能だと言われていますが、それでも難題であることには変わりありません。

突如として訪れた全社員リモートワークというチャレンジに真っ向から挑み、インフラ環境をごく短期間で実務レベルにまで昇華させ、通常業務の継続を可能にした立役者がウイングアーク1stの社員のIT機能を担うICT(Information and Communication Technology)ソリューション部門です。しかし、そんな彼らでさえも、何の前準備もない状態では突然全従業員リモートワークに切り替えるのは不可能だったと言います。

我々が今日支障なく業務を行えるのは部門を率いる部長の行本がもともと持っていた働き方に関する考えも大きいかも知れません。今回は、全従業員リモートワークを実現させるために舞台の裏側で着々と進められてきた行本に、実施計画と今後のヴィジョンについて聞きました。

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全従業員リモートワークだけでなく「ウイングアーク1stらしい働き方の確立を見据えた」プロジェクト

もともと2020年に開催予定だった夏のスポーツイベント時の混雑を避けるために全社リモートワークを可能にするべきだ、という考えに基づき、我々IT部門を発起人とした組織横断型のリモートワークプロジェクトを2019年の8月から開始していました。経営陣と議論を重ねていくうちに、このスポーツイベント期間の4週間のみに焦点を定めるのではなく、それ以後のリモートワークも含めた「ウイングアーク1stらしい働き方の確立」というより遠くを見据えたゴールを目指すことをこのプロジェクトの最終着地点として推進していました。

見切り発車で始まったリモートワーク

このプロジェクトでは、まずは、リモートワークに親和性の高いエンジニア部門を中心に、トライアンドエラーをしながら、わたしたちらしい働き方の導入を目指して企画・計画・設計をしていく、ということになっていました。在宅勤務だけでなく、シェアオフィスやサテライトオフィスなどの発想もそこには含まれていました。しかし、今回の新型コロナウイルスの拡散を受け、2月末に全社員に向けて在宅勤務指示が出され、このリモートワークプロジェクトはいきなり本番を迎えざるを得なくなりました。

リモートワーク環境をゼロから構築するには少なく見積もっても半年はかかりますし、それなりの予算も必要です。500~600人規模の会社であれば、3,000万円から4,000万円くらいの予算規模のプロジェクトになるかと思います。リモートワークを実現させるにあたってインフラ環境で軸となる要素は4つあります。それは、通信回線・VPN・コラボレーションツール・セキュリティです。

通信回線・VPNのキャパシティ把握
幸いなことに、リモートワークプロジェクトの一環として、社員の6%が在宅勤務を実際に行い、ネットワークへのアクセスログの解析を行う「キャパシティテスト」を1月にすでに実施していました。そこで得られた数値をたたき台とし、全社員がリモートワークを行った際に必要となる回線幅の算出を行いました。回線幅を大きくするとその分、コストに跳ね返ってきます。使用状況を把握し、適切な着地点を見極めることが技術的な面での大きなチャレンジだったと言えるかと思います。キャパシティテストを事前に行なっていたことは今回のリモートワークの実現においてかなり有利に働いてくれました。

通信回線の増強手配
回線の手配と一言にいっても、回線業者に依頼すると通常は2ヶ月から3ヶ月はかかります。今回はそんな猶予はなかったので、データセンターから回線を分けてもらうという要請をしました。VPNに関しては兼ねてから付き合いのあった業者に無理やりお願いし、テストという名目のもとにテスト機器を二段階で借り上げ、順番に移していく、という裏技を使いました。

コラボレーションツール・セキュリティ
会議等に使うコラボレーションツールは日常的に社員が使っているZoomをそのまま採用することにしました。ウイングアーク1stはZoomを導入したタイミングが極めて早く、2013年か2014年頃、まだZoom Japanも設立されておらず、アメリカのZoom本社と直接契約をしていました。日本で最初にZoomを導入したのは実はウイングアーク1stだったとも聞いています。(笑)Zoomは断続感のない構造が魅力で、セキュリティの問題が最近は指摘されていますが、とても優秀なツールだと思っています。

全体的なセキュリティに関して言うと、安全性を最重要視することで業務が停滞するとなると本末転倒なことになってしまうので、最低限度のセキュリティを確保しつつも、滞りなく業務が遂行できることを優先させる、という選択をせざるを得ませんでした。

かなりの見切り発車だったので、知恵を絞らざる場面も今回は多かったですが、IT企業ということもあり、自宅にネット回線を引いている人も多いことにも助けられました。リモートワークを見越して会社から支給されているパソコンも全てノートパソコンだった、ということにも助けられました。

本当はもう少し練り上げてから実践したかった、というのが本音ではありますが、この短期間で実現できたのはIT部門だけでなく、経営陣の意識が先を見据えたところにあったおかげだと実感しています。知恵を絞った結果生まれてきたいくつかの裏技的な解決策も個人的には気に入っています。(笑)

働き方の今後

自分の場合は、外資系企業の勤務が長かったこともあり、もともと家で仕事をする、という発想があったため、家を建てた時に仕事用の書斎を作りました。今はその書斎が活躍しています。家具も作り付けで、当時の自分のオフィスに近い作りになっていて、正直六本木のオフィスより居心地がいいですし、通勤時間わずか5秒(六本木オフィスまでは片道2時間!)と理想的な環境なので、このままずっとリモートワークが続いてくれても良いと思っています。(笑)

むしろウイングアーク1st製品を世界に普及させていくためにはそういう環境にならないと世界的な競争力を得られないとも考えています。クラウドの次はデータが主戦場になることを我々は想定しています。データが大きな市場になった時にその市場で勝ち残っていくには東京にいる社員だけではなく、世界中から必要なリソースを集める必要がどうしても出てきます。そうなった時には当然、リモートワークという選択肢はより不可欠になってきます。リモートワークが実現すれば、さほど広いオフィススペースを借りる必要もなくなりますし、それによって節約できた賃料を社員に還元することも可能だと思っています。今回のプロジェクトでは実際にそういう計算もしてみています。

マネジメントや生産性の問題などまだまだクリアしなくてはならない課題はたくさんありますが、リモートワークの歴史はまだ始まったばかりです。一人の人間としての幸せと一人の社会人としての生産性を両立できるような働き方の模索を続け、ウイングアーク1stらしい働き方の確立に尽力していきたいと思っています。

おわりに

見切り発車とは言え、全社員リモートワークという業務形態をこの短期間で実現できた背景にはICTソリューション部門や経営陣がもともと持っていたヴィジョンや働き方に関する考え方がありました。リモートワークが続くにつれ、働き方に関する考え方はアップデートされ、働き方もさらに進化を遂げていくかと思います。コロナ禍が収まった後にはどんな世界が待っているのか?リモートワークは定着するのか?行本は片道2時間の通勤から解放されるのか?

いずれにしても、リモートワークの時にはリモートワークの良さを、出社して仕事する時には出社して仕事をする良さをそれぞれ最大限に活かしながら仕事に励みたいものですね!

(田川)


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